著 者 青柳碧人
発行所 株式会社双葉社
1篇が約40ページの短編で、密室龍宮城と絶海の鬼ヶ島には地図や図解などものっている。ミステリ小説をあまり読んだことがなくてもわかりやすい。
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』公式サイト|双葉社
- 一寸法師×アリバイトリック
- 花咲かじいさん×ダイイングメッセージ
- つるの恩返し×倒叙ミステリ
- 浦島太郎×密室トリック
- 桃太郎×クローズド・サークル
それぞれのジャンルが異なるので、頭においておくとさらに楽しめる。
一寸法師の不在証明
鬼に出会うところから話は始まり、前半は絵本で読んだことがあるような展開が続く。しかし一人の男が現れて、事態は大きく変わっていった。
アリバイトリックが主軸にあるため、日付や時間帯など作中に細かく書かれていて、すらすらと読み進められる。
花咲か死者伝言
後半の疾走感に読む手が止まらなかった。
最後の2行が強く印象に残っている。
つるの倒叙がえし
『倒叙』は時間をさかのぼって記述することで『倒叙ミステリ』とは犯人の視点で進んでいく作品のことだ。
途中で話が飛んでいるような感覚に襲われるが、読み終わってからもう一度読み返してみると、意味がわかる作りになっている。
密室龍宮城
登場人物が多いのと、見取り図がわかりやすく載っていたので、頭の中で整理していった。
トリックに重要なものが伏線として冒頭から何度も出てくる。
絶海の鬼ヶ島
5つ短編は、それぞれの話自体がつながっていないが、この絶海の鬼ヶ島は最後に読むと面白い仕掛けがあるんので、できれば最後に読んでほしい。
この作品は、桃太郎が去ってからの鬼ヶ島で起きる悲劇で、人間側も鬼側もお互いを『恐ろしい生き物』と表しているのが印象的だ。
こちらの作品も見取り図と鬼たちの簡単な家系図がのっているので、読みやすく、クローズド・サークルの恐怖が表現されていた。
『クローズド・サークル』とは、ある理由で外界と往来が断たれれた状況で起きる事件を扱った作品のこと。
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